Y.Tさん(精神障がい)

Ｑ１　業務内容を教えてください。

Ａ　ステーショナリー事業本部開発部のアシスタント業務を担当しています。文具などの新製品開発に関わる書類の作成やデザインの変更、色見本など海外への発送業務も行っています。Kハートの製作部が製作しているプレートの印字作成、金型（プラスチックを流し込む型）を製作する際の事務手続きなど、業務内容は様々です。

Ｑ２　「やりがい」は？

Ａ　入社後５年間は、ランドセルの受発注の窓口業務を担当していました。販売店の営業担当者とやりとりする中で、急な発注など対応の難しい依頼をいろいろな部署に問合せ、何とか可能にした時、とても感謝されたことがありました。要望に応えられた喜びや達成感はとても大きなものでした。営業担当者と信頼関係を築けたと実感でき、とてもやりがいを感じました。現在の業務は昨年９月から担当し、まだまだ覚える事で精一杯ですが、その５年間の経験を活かせる場面がたくさんあり、やはりコミュニケーションは業務を遂行する上で、とても重要だと思っています。同フロアの方々も皆さん親切で、どんなに忙しい時でも私が困っていると優しく答えて下さる方々ばかりなので、人間関係に恵まれている事で安心して楽しく仕事ができ、充実していると思います。周囲の方々に本当に感謝しています。

Ｑ３　入社後、一番印象的な出来事は？

Ａ　コクヨKハート15周年記念品川研修です。障がいにも関係しますが、過去15年ほど新幹線に付き添いがあっても乗れなくて、旅行も車でゆっくり休憩しながら、近場なら各駅停車の電車を利用するなど"自分の安心できる範囲内"で行動していました。新幹線に長時間乗って東京に行くことは、私にとってとても怖く、勇気のいることでした。締切ギリギリまで悩みました。一歩がとてつもなく重い・・・。不安でした。大きな不安と恐怖・・・それでも一歩を踏み出したいと思いました。「今まで苦手だった事」に挑戦してみたいと思いました。そして会社に娘の同行を相談することにしました。快く配慮して下さり、承諾を頂きました。娘が同行であっても不安でしたが、「苦手だったこと」へのチャレンジを決意しました。いよいよ当日、覚悟して新幹線に乗車し、最初は緊張と不安でいっぱいでしたが、時間の経過とともに自分の思っていた恐怖が「そうでもないこと」、想像していたよりずっと「そうでもなかったこと」にうれしさが込みあげてきました。そして、静岡を過ぎる頃には、新幹線に乗っていることが楽しくなっていました。自分の中の不安や恐怖がこの日の一歩によって「そうでもないこと」に変換できました。このできごとは、私の一番うれしかったことです。この研修をきっかけに勇気を出そうと思ったのは、今の自分を良い方向に変えたいと思うタイミングだったからだと思います。

　

Ｑ４　仕事上、心がけている事、決めている事は？

Ａ　いつでも話しかけやすい雰囲気づくりを心がけています。人に聞いたり教えてもらう事は難しいことだと思います。話しかけて良いタイミングをはかったり、仕事の邪魔ではないかと考えたり、迷惑かなと考えたり・・・苦手な人も多いと思います。だからこそ、壁をつくらないよう、いつでもOKな空間づくりを心がけています。一度壁を感じると近寄れなくなり、業務上も進みにくくなってしまいます。与えられた仕事をいくら完璧にこなしても、周囲の方々を大切にできなければ成長がないと思います。周りのフォローがあって安心して仕事に取り組めます。その感謝の気持ちを忘れることなく、私も壁をつくらず "話しかけやすい存在"でありたいと思っています。

Ｑ５　メッセージ『後輩の皆さんへ』

Ａ　障がいに関することで「こんなに辛い思いをしているよ。こんなにしんどいよ・・・分かってほしい。分かってもらえたらどんなに楽だろう・・・。」そんなふうに思っている人も多いと思います。私も以前はそう思っていた時がありました。でも、Kハートで働く中で「特に理解してもらう必要は無いかな」と思います。100％障がい特性を周囲に理解してもらうことは無理だと思います。でも、あきらめるのではなく、理解してもらわなくても心遣いのある方々の中にいることの安心感はとても大きいです。サポートや配慮の中で安心しているだけでなく、自分ができること、自分なりの方法を仕事や人間関係の中で見つけていく、そして自分で達成できた時の感動が自信につながっていくのだと思います。Kハートに入社して以降、障がいに対する差別を感じたことは一度もありません。一緒に仕事をする仲間が本当に温かいです。心遣いが伝わります。その中で甘えるだけではなく、人任せにせず、乗り越えていける環境だと思います。